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絵の具遊びには様々な種類がありますが、その中でも絵を描くことにとらわれず、自分らしさや創造性をもって楽しめる「にじみ絵」。
枠にとらわれず楽しむ子どもたちの姿から、想像性や独自の感性など新たな一面を引き出すこともできます。
たくさんの色に触れることで色彩感覚が育まれることはもちろん、道具や素材を使うことで自分らしさや手先の器用さも養うことができます。
「にじみ絵」の年齢別のねらい、指導案、導入におすすめの絵本、素材別のにじみ絵について一挙にご紹介します!
難しいことはひとつもありません。
これを読めば、しっかりとしたねらいを持って「にじみ絵」を保育に取り入れることができるようになりますよ。
にじみ絵のねらい
にじみ絵のねらいをご紹介します。
- 思いがけない色の変化を楽しむ
- 色がにじんでいく様子を見て、想像力や色彩感覚を養う
- 様々な道具・素材に触れることで手先の発達を促す
お絵描きというよりは「色遊び」の要素が多いので、年齢や個性を活かして楽しむことができます。
年齢別のねらいから、子どもたちの成長に合わせて感性を引き出していきましょう。
にじみ絵ねらい・1歳児
1歳児のにじみ絵のねらいをご紹介します。
- 色がにじむ様子をを楽しむ
- 色の名前に興味を持つ
- 楽しさや驚きなどを保育士と共有する
お絵描きで何かを描くことが難しい1歳児でも、色の思いがけない変化や動きに興味や好奇心を持って取り組むことができます。
何かを描く必要のない「にじみ絵」は、自由な感性を爆発させることのできる場です。
色が変わっていく様子に「あっ!」と驚いたり、喜んだり。
先生も一緒に楽しんでくれる、そんな経験も感性を育むための大切な第一歩になります。
にじみ絵ねらい・2歳児
2歳児のにじみ絵のねらいをご紹介します。
- 自由に表現することの楽しさを知る
- 色の名前や種類に興味を持つ
- 道具の使い方を知り、保育士と一緒に使おうとする
お絵描きで描いたものに「ママ」や「パパ」「ワンワン」と自分なりに意味付けをして楽しめるようになってくる2歳児。
さらに、色の名前を覚えたり好きな色ができたりするのも、この時期の大切な感覚です。
自分の思いが強くなってくる2歳児にとって、色の変化や広がりに触れることは驚きや発見の宝庫です。
「先生みて!」と自分の発見を教えてくれることもあるかと思います。
そんな時は、「ほんとだね、すごいね」「きれいだね」と子どもの気持ちに寄り添ってあげてくださいね。
にじみ絵ねらい・3歳児
3歳児のにじみ絵のねらいをご紹介します。
- 色の微妙な変化に気付き、興味を持つ
- 色のにじみを自分なりに表現しようとする
- 手先の細やかさを養う
3歳児になってくると、新たな発見を自分のものにしようと楽しむ姿も見られます。
できることが増え好奇心が旺盛になる反面、できないことにネガティブな意識もでてきます。
「これが上手」というお手本がない「にじみ絵」は、お絵描きが苦手な子もワクワクする要素が沢山あります。
「この色をまぜたら・・・」「ここに色をつけてみたら・・・」と、自分なりに表現する楽しさを追求することができるのです。
先生の助けがなくても道具を使えるようになると、自然と手先の器用さやしなやかさも身に付いてくるでしょう。
にじみ絵ねらい・4歳児
4歳児のにじみ絵のねらいをご紹介します。
- 色の変化を想像しながら楽しむ
- 細やかな色彩感覚を養う
- 道具や素材の違いを活かして表現する
自分の思いのままに手先を動かせるようになってきたことで、道具や素材によって感覚の違いを楽しめるようになってきます。
また、見通しや想像力を持って取り組むことで、どんどん自分の世界が広がっていくでしょう。
自分なりの表現に素材を加えてみるとどうなるか、イメージを膨らませながら取り組む姿に新たな一面が見られるかもしれません。
友だち同士で見せ合い、表現や色の違いを知り受け入れていく経験も豊かな感性を育んでいくことに繋がります。
にじみ絵ねらい・5歳児
5歳児のにじみ絵のねらいをご紹介します。
- 様々な色を作って楽しむ
- 友だちや保育士との関わりの中から表現を広げていく
- できあがった物をさらに発展させていき創造性を養う
年長さんになってくると、「こうしてみたい!」「こうやったらいいんじゃない?」と子どもたちからどんどんアイディアが生まれてくることも多いですよね。
保育士の思い描くものに誘導していくことも大事ですが、しっかりとお話を理解してくれるからこそ、子どもたちの創造性や感性に任せながら製作に取り組むこともできます。
単色の絵の具をにじませて色の混ざり合いを楽しんでいたところを、色を混ぜ合わせて色を作るところから始めてみるのもいいかもしれません。
子どもたちに任せられる部分も大いにありますが、ルールや約束事などを守れるようになったことで、「自由に」と言われると悩んでしまう子もいます。
そんな時は、「こんなのはどうかな?」とヒントやきっかけを与えてあげると、楽しく取り組むことができるでしょう。
にじみ絵の指導案
「にじみ絵」の指導案で抑えておきたいポイントを紹介します。
保育の流れ
園やクラスの流れによって変わりますが、今回は午前中の主活動の時間で考えていきます。
子どもたちがどうやったら楽しめるのか、子どもの姿を予想しながら前後の活動の流れも考えていけるといいですね。
- 排泄
製作中に「トイレに行きたい!」となった時に、絵の具のついた手を洗って製作中の友だちの間を通って・・・となると一苦労なので、排泄は済ませてから取り組みましょう。
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複数担任であれば、ここで同時進行で製作準備をします。
一人担任の場合は、以上児であることが多いと思うので、排泄を見守りながら・・や、朝の時間に少しずつ準備をします。
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- 導入
絵本や紙芝居などがオススメです。
オススメの絵本は後ほど紹介します!
- 製作
慌ただしくなったり、次の活動に支障がでないよう無理のない時間設定にしましょう。
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- 片付け
子どもたちそれぞれのタイミングを見極めて片付けの声掛けをするとスムーズに進みます。
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子どもたちの片付けと並行して、道具の片付け・次の活動に向けた保育室の環境整備も始めます。
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- 手洗い・排泄
手洗いや排泄は片付けからの流れで行うと、スムーズに進みます。
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片付けの時間に保育室の環境整備が終わらない場合は、ここで準備と同じように同時進行で行います。
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- 次の活動へ
大事なことは、余裕をもった準備・時間設定です。
にじみ絵は細かな準備や片付けが多いので、しっかり立案していきましょう。
ただ、指導案を考えていくなかで余裕をもった準備・時間設定をすることは、にじみ絵だけに限らず応用していけますよ!
準備物
道具や素材は100円ショップでも揃うようなものばかりなので、簡単に用意することができます。
- 台紙:
にじみ絵は様々な素材をいかして行うことができるので、台紙選びが重要です。 - 絵の具、筆、ペンやスポイト、霧吹き:
年齢や成長段階によって柔軟に対応していきましょう。 - テーブルクロス、シート:
あらかじめ机に敷いておくと良いでしょう。
手や服に絵の具が付くことが多いので、手拭き・スモックの用意や手洗いなど、保育全体の流れも考慮しましょう。 - 完成品を乾かす場所:
そのままでは破れたりしてしまうので、机の上やクリップを使って干したりする乾かす場所が必要です。
環境設定
- 保育室:
絵の具や素材を使用するので、一人ひとりのスペースを大きく取るとやりやすいです。 - 導線:
自分で道具や素材を選んだり、手を洗う場合など、導線を決めておくと子ども同士がぶつかったりなどのトラブルも減り、スムーズに活動に取り組めます。 - 保育士の配置・分担:
年齢や成長段階によって大きく変わってくる部分なので、安全に楽しくできる設定を考えましょう。 - 換気:
大型製作として取り組んだり、友だち同士協力して取り組む場合は密になりやすいので、窓を開けたり・空気の通り道を作るなどの配慮をしましょう。
配慮事項
- 安全面:
誤飲や窒息の危険がないか、それを防ぐにはどうするのか、子どもたちの動きを予想しながら案を立てましょう。 - 服装:
スモックなどがある場合は着用します。
ない場合は事前に保護者に製作内容を伝え、汚れてもいい服装での登園・持参をお伝えすることで後々のトラブルも防げます。
先生たちも汚れる可能性大なので、子どもたちと同じように汚れても大丈夫なエプロンや服装で行うと良いですよ。
にじみ絵 くらげ
同じ技法でも子どもたちそれぞれに表現の違いがあってほんと面白いなー✨
もっと勉強しよっと🎵 pic.twitter.com/OG4oQuhRZ2— mari@保育士とお絵かきのせんせ🥰💖 (@maaari_hoiku) July 26, 2020
にじみ絵の導入
にじみ絵は、子どもにとっては未知との遭遇です。
初めて行う場合は特に、先生が見本としてやって見せることも必要になってくるかと思います。
ただそれだけでは、見たものをそのまま形にするだけになってしまう可能性もありますよね。
絵本などで導入をして、子どもたちの豊かな感性を引き出していきましょう。
にじみ絵の導入に使える絵本
にじみ絵の導入に使える絵本をご紹介します。
- 『わたしのワンピース』
作:西巻 茅子 出版社:こぐま社
うさぎさんの作ったワンピースが「花」や「雨」など色々な模様に変化する、ほっこりする絵本です。
【導入例】
- 『どんないろがすき?』
絵:100%ORANGE 出版社: フレーベル館
たくさんの色が出てきます。
歌に合わせて子どもとの掛け合いを楽しみながらも読める絵本です。
【導入例】
「たくさん色が出てきたね。
みんなは何色が好きかな?
好きな色も知らない色も、たくさんの色を使って遊んでみよう。」
- 『はらぺこあおむし』
作:エリック・カール 訳:もりひさし 出版社:偕成社
はらぺこのあおむしが、曜日を越えながらたくさんの食べ物を食べてさなぎになり・・・
最後はきれいなちょうちょになります。
子どもたちに大人気の絵本です。
【導入例】
「最後にきれいなちょうちょになったね。
みんながあおむしさんだったら、どんなちょうちょになりたいかな?」
- 『あおくんときいろちゃん』
作:レオ・レオニ 訳:藤田 圭雄 出版社:至光社
仲良しのあおくんときいろちゃんが、仲良しのあまり混ざっちゃう!?
しっかりしたストーリーがあるので、色の世界とお話の世界に引き込まれていく絵本です。
【導入例】
「仲良しのあおくんときいろちゃん、大好きすぎてみどりになっちゃったね。
色が混ざると違う色になるんだね。
他の色も混ざったらどうなるのかな?」
- 『じぶんだけの いろ』
作: レオ・レオニ 訳: 谷川 俊太郎 出版社: 好学社
自分の色ってなんだろうと悩むカメレオン。
自分らしくいることや自由な表現って素敵だと思える、大人が読んでも色々考えさせられる絵本です。
【導入例】
「カメレオンさん、どんな色でも素敵だったね。
自分が素敵と思ったらそれでいいんだよね。
みんなも好きな色、自分だけの色で〇〇を作ってみよう。」
牛乳パックでにじみ絵
にじみ絵は、やり方は同じでも素材によって出来上がりの雰囲気が変わってきます。
様々な素材を使って、にじみ絵の楽しみ方を工夫してみましょう。
牛乳パックは水をはじいてしまうので、牛乳パックは表面のビニールを剥がすと、和紙の様な質感です。
濡らして絵の具やペンをにじませることができますよ!
また、にじみ絵を活かすにもとてもいい素材です。
牛乳パックをくりぬいて、そこににじみ絵を貼り付ければ、ランタンのようにもすることができます。
また、水をはじくことから絵の具を混ぜ合わせる容器にしたり、手洗いボウルのように使うこともできます。
にじみ絵をキッチンペーパーで
キッチンペーパーは水を吸ってくれるので、少しの色でじんわりと素敵な模様が作れます。
どこの家庭にもあるといっても過言ではないような気がするので、準備も簡単ですぐに取り組むことができますね。
キッチンペーパーは、絵の具よりも水性のカラーペンのほうが相性がいいです。
殴り書きで描いた上から、霧吹きで水を吹きかけると、じわーっとインクが広がっていく様子も楽しめます。
絵の具を使う場合は、パレットや絵の具の入った容器に直接付けたり、指でポンポンとスタンプするとキレイにできますよ!
なるべく多めの水で絵の具を溶いておくのがポイントです。
コーヒーフィルターでにじみ絵
コーヒーフィルターも、カラーペンでのにじみ絵がオススメです。
キッチンペーパーよりも破れにくいので(それでも引っ張ったら破れちゃいます!)未満児さんでも扱いやすいです。
また色・形を活かして簡単に応用がききます。
- お花
- リボン
- ちょうちょ
- かき氷
- クレープ など
色遊びだけではなく、簡単な製作として取り組みたいときに便利です。
にじみ絵を障子紙で
障子紙を使ったにじみ絵は、絵の具がオススメです。
重たい絵の具がじわじわと広がっていく様子に、子どもたちは釘付けです。
より想像力や感性を働かせることができるので是非試してみてくださいね。
カラーペンの場合は霧吹きではなく、カラーペンで描いた上から水を含ませた筆でちょんちょんと水を染みこませていくと、キレイにインクが広がります。
障子紙は切ったり折ったりもしやすいので、個性やオリジナル感も出すことができます。
サイズも様々なので、大型の製作にも対応することができます。
にじみ絵をクレヨンで
クレヨンは油性なので、色をにじませることはできません。
しかし、クレヨンで線や絵を描いてから絵の具をにじませると、線がキレイに浮かび上がります。
はじき絵の要素が加わり、さらに面白さやワクワクが生まれます。
にじみとのコントラストが強く出るので、ハッキリと色が出るクレヨンを選びましょう。
にじみ絵を水性ペンで
水性ペンは霧吹きとの相性がとてもいいです。
線の周りがにじんでいくので、密に書いたり色を塗ったりするよりは、スルスルっと一筆書きくらいの軽いタッチで書くのがコツです。
あまり強く描きすぎると、紙が破けたりすることもあるので筆圧をコントロールすることのできる年齢、成長段階での使用がいいでしょう。
にじみ絵をスポイトで
ピンポイントで「にじみ絵」を楽しむことができるスポイトは、サイズも小さく子どもたちにも扱いやすいのか特徴です。
絵の具やペンで描いた上から、一滴一滴水を垂らしていきましょう。
微妙な力加減で垂らしていくので、手先の感覚も養うことができますよ。
子どもが自分で行う場合は、力加減を調節できる年齢、成長段階を考慮しましょう。
にじみ絵を霧吹きで
先生がやる場合も、子どもが自分でやる場合も、一番簡単で失敗しにくいのが霧吹きです。
にじみ具合をみながら霧吹きで調整して水をかけていくと、バランスのとれたキレイな作品になります。
紙を持ったり吊っている状態でも水をかけられるのは霧吹きだけなので、そのポイントを活かしていきましょう。
サイズや重さに配慮すれば、子どもたちが自分で水をかけられるので、手先の発達も促していくことができます。
まとめ
にじみ絵のねらいを知ることで、ただのお絵描きや絵の具遊びとはちがう奥深さを感じますよね。
「同じ物は描けないし作れない」そんな不思議な感覚が、子どもの探究心や好奇心をくすぐります。
先生が「すごいね」「キレイだね」と肯定し受け入れてあげることで、自分らしさに自信を持ち自己肯定感も育むことができます。
子どもがにじみ絵の世界に入り込めるよう、環境や設定を整えてあげましょうね。
準備もとても簡単にできるので、すぐにでも実践できるかと思います。
様々な素材や道具を使うことで、私たちにも想像できないような作品や子どもの新たな一面が見られるかもしれません。
子どもも先生もワクワクできる「にじみ絵」。
明日から使える情報ばかりなので、是非参考にして保育に取り入れてみてくださいね。