ランドセルは日本の小学生にとって象徴的なアイテムですが、実はすべての地域で使われているわけではありません。
特に北海道などの一部地域では、ランドセルを使用しない習慣があります。
この記事では、ランドセルを使わない理由や、具体的な地域・県について詳しく解説します。
北海道でランドセルを使わない理由
北海道の小学生がランドセルを使わない理由は、大きく分けて二つあります。それは、過酷な環境と道民性によるものです。どちらも理由を知るとうなづける内容なので、順番に説明していきます。
過酷な環境
北海道は言わずと知れた雪国であり、足元の悪い雪道の登下校に重いランドセルは不向きです。
たいていのランドセルは1kg以上あり、中に教科書や筆箱を入れると4kgを超えてしまいます。
小学生が重いランドセルを背負って歩くのは、普通の歩きやすい道でも体力を消耗します。
雪だけでなく坂道も多い北海道では、毎日の登下校がかなり大変です。
そんな過酷な環境の北海道小樽市で誕生したのが、ランドセル型リュックの「ナップランド」です。
重さはわずか660gで、一般的なランドセルの半分ほどです。
ナップランドのような軽いランドセル型リュックが好まれるのも納得です。
小樽では、ナップランドが広く愛用されています。
また、北海道のランドセル事情は他地域とは少し異なり、約50年前からランドセル廃止に関する新聞記事がありました。
小樽のナップランドが開発される前から、道民の間ではランドセルが必ずしも6年間使われるものではないという意識が広まっていたのです。
他の地域ではランドセルが小学校6年間の象徴とされる一方で、北海道では柔軟な選択肢が存在していました。
中学年・高学年あたりでランドセルを使用しなくなる子が圧倒的多数です。
道民性によるもの
北海道でランドセルを使わないという習慣ができたのは、道民性によるものとも言われています。
北海道の人たちは「おおらかで心が広い」「伝統やしきたりに縛られない」という特性があります。
これは、北海道の歴史に関係しています。
北海道の人口が増えて発展し始めたのは明治以降であり、歴史が浅いために地主や名家といったものが存在せず、新しいことや変化に寛容な風土が生まれたのです。
ランドセルは重くて大変だからランドセル型のリュックを使おう、という風潮も浸透しやすかったのでしょう。
ランドセルを使わない県・地域
北海道以外でもランドセル型リュックを使う地域がいくつかあります。
これらの地域では、ランドセル型リュックが一般的に使用されています。
滋賀県・京都府の一部地域
滋賀県や京都府などの関西の一部地域では、ランドセル型リュックが使われています。
昭和時代に京都で生まれた「ランリック」というカバンが、その普及のきっかけです。
小学生が重いランドセルを背負って危ない道を歩くことを心配し、軽量なリュックが開発されました。
ランリックは、黄色と黒でよく目立つ配色や、6年間使える大容量が特徴です。
福岡県の一部地域
福岡県の一部地域でも、ランドセル型リュックが使われています。
地元の学生服メーカーが「リュックセル」というカバンを販売したことが広まった理由です。
丈夫で軽く使いやすいリュックセルは、小学生のために考えられた商品です。
埼玉県の一部地域
埼玉県の一部地域でも、ランドセル型リュックが使用されています。
埼玉県のある小学校が京都府と同じ「ランリック」を採用したことで、この地域でも普及しました。
ランリックの重さは700g程度で、本革製ランドセルの半分です。
子どもたちに負担がかからないランドセル型リュックが活躍しています。
沖縄県那覇市
那覇市内の小学校に通う外国籍の児童数が増加傾向にあります。
「ランドセルに慣れていない外国の子どもを含め、全保護者にとっても経済的負担の軽減や子どもたちの負担軽減につながる」として2024年度より選択の自由を取り入れました。
まとめ
ランドセルは日本の小学生の象徴とも言えるアイテムですが、地域の気候や文化、利便性の観点から、使用されない地域や学校も存在します。
北海道でランドセルを使わない理由は、雪や坂道の多い過酷な環境と、おおらかで寛容な道民性によるものです。
また、ランドセル型リュックは滋賀県・京都府、福岡県、埼玉県の一部地域でも使われています。
お子さんの入学準備の際には、革のランドセルだけでなく、ランドセル型リュックもぜひ候補に入れてラン活を楽しんでください。