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新年度が近づくと、まず取り組むことの1つとして年間指導計画の作成があります。
年間指導計画は、1年間を視野に入れて立てる計画であり、その後の月間指導計画・個別指導計画に繋がる大切なものとなります。
年間指導計画を立てる時期は、忙しい時期であることが多く、子どもたちの1年に見通しを持って計画するということができないこともあるのではないでしょうか。
しかし前述の通り、年間指導計画がクラスの1年間の基礎となり、発展していく大切なものなので、丁寧に立てていくことが非常に重要であります。
年間指導計画・2歳児
2歳児の年間指導計画を作成する前に、大切なポイントがあります。
それは、前担任からクラス全体の様子、子ども1人ひとりの様子、この1年大切にしてきたことなどの引継ぎをしっかり受けることです。
子どもの姿が分らなければ、指導計画を立てることはできません。
1歳児の指導計画や個人記録も確認し、年間指導計画を立てる前の準備がまず大切です。
年間指導計画2歳児・年間目標
年間指導計画2歳児の「年間目標」の例文をご紹介します。
- 保育士に見守られる中で、衣服の着脱や自分の身支度をしようとする
- 遊びや生活を通して、友だちに興味を持つ
- 自分の思いを言葉で伝えながら、友だちと遊ぶことを楽しむ
- 様々な色、形、数などがあることを知り、言葉を使ってやり取りを楽しむ
- 手先、指先、全身を使いながら、身体を動かすことを楽しむ
年間指導計画2歳児・5領域
2歳児の年間指導計画の「5領域」の例文をご紹介します。
【1期】
- 健康:保育士といっしょにトイレに行き、見守られながら排泄する
- 人間関係:保育士や友だちと一緒に遊ぶことを楽しむ
- 環境:自分のロッカー、下駄箱などの場所を知る
- 言葉:保育士や友だちと挨拶や簡単な言葉のやり取りを楽しむ
- 表現:不安な気持ちを受け止めてもらい、自分の気持ちを表現しようとする
【2期】
- 健康:着替えや食事の準備、片づけを自分でやろうとする
- 人間関係:保育士に仲立ちしてもらいながら、自分の思いを伝えようとする
- 環境:水遊びや泥遊びで、夏ならではの感触遊びを楽しむ
- 言葉:長い絵本も集中して聞けるようになり、絵本の中の言葉を楽しむ
- 表現:様々な素材に触れ、遊ぶ・描く・製作することを楽しむ
【3期】
- 健康:走る、飛ぶ、くぐるなどさまざまな動きを取り入れた運動遊びを楽しむ
- 人間関係:友だちとの関わりを通し、友だちにも自分と同じような思いがあることを知る
- 環境:季節の移り変わりに触れながら、戸外遊びを楽しむ
- 言葉:生活や遊びに必要な言葉を知り、自分の思いを伝えようとする
- 表現:鬼ごっこ、色鬼などルールのある遊びに興味を持つ
【4期】
- 健康:手洗い、うがいの大切さをしり、感染症の予防に努める
- 人間関係:友だちと積極的に関わり、好きな遊びを十分楽しむ
- 環境:幼児組の保育室で過ごす時間を作り、進級に期待を持つ
- 言葉:保育士や友だちの話に興味を持ち、聞こうとする
- 表現:はさみの使い方を知り、保育士が見守る中で安全に使う
年間指導計画2歳児・食育
2歳児の年間指導計画の「食育」の例文をご紹介します。
【1期】
- 落ち着いた雰囲気の中で、友だちといっしょに食事をする楽しさを味わう
- 食前、食後のあいさつを自分からしようとする
- 食前の手洗いの意味、大切さを知る
【2期】
- さまざまな食材の色、形を見て食材に興味を持つ
- 苦手な食材も、保育士に励まされながら1口食べてみようとする
- 簡単なクッキングを通し、食事に興味をさらに持ちながら、食材や食事の用意をしてもらえることに感謝の気持ちを持つ
【3期】
- 旬の食材に興味を持つ
- スプーン、フォークの正しい持ち方を、自分からしようとする
- 自分の食べられる量を保育士に伝える
【4期】
- 箸の導入に向け、家庭と連携する
- しっかり噛むことの大切さを知り、実践しようとする
- 食材の名前を知り、友だちと食事内容についても話をするようになる
年間指導計画2歳児・発達の特徴
2歳児の年間指導計画の「発達の特徴」の例文をご紹介します。
【1期】
- 新しい環境に不安を感じ、泣いて過ごす子もいる。環境の変化により、食事量や午睡時間に変化がある子もいる
- 戸外では身体を思い切り動かすことができる
- 進級に喜びを感じ、これまでできなかったことにも挑戦しようとする
【2期】
- 水遊び、泥遊びに興味を持ち、思い切り楽しむ。顔に水がかかることを好まない子もいる
- 友だちとのやり取りで『貸して』『いいよ』『ちょっと待ってね』など、言葉で思いを伝えられるようになる。
自分の思い通りにならないことがあると、保育士に仲介を求めることがある - スプーン、フォークを正しい持ち方で持とうとしたり、食事中の姿勢にも気を付けることができるようになる
【3期】
- 積極的に衣服の着脱や、身の回りの片づけをしようとすることもあれば、保育士に甘えてしまうこともある。
- 自分の思いを言葉で伝えられるようになるが、友だちとのすれ違いもあり保育士の仲介が必要なこともある
- 友だちと遊びを深める子もいれば、1人遊びに熱中する子もいる
【4期】
- 衣服の着脱を自分で出来るようになるが、下着の前後は間違えてしまうこともある
- 進級に期待を持ち、身の回りのことをより積極的にやろうとする
- トイレでの排泄がほぼできるようになる
年間指導計画2歳児・家庭との連携
2歳児の年間指導計画の「家庭との連携」の例文をご紹介します。
【1期】
- 連絡帳や送迎時にコミュニケーションを密にとり、園と家庭との様子を伝え合うことで信頼関係を築いていく
- 懇談会でクラスの様子や2歳児の発達を知らせ、園と家庭で共に子育てする意識を持てるようにする
- トイレトレーニングは、家庭と連携をしっかり取り、子どもに無理のないように進めることを理解してもらう
【2期】
- 泥遊びや水遊びで汚れたり、汗をかいたり、排泄の失敗もあるため、着替えを多めに準備してもらうよう伝える
- 靴が大きすぎたり、小さくなっていると足の成長に影響があることを伝え、適切なサイズを用意してもらえるように伝える
【3期】
- 気温に合わせた服装で過ごせるよう、衣服を用意してもらう。
また自分で脱ぎ着しやすいサイズの服を用意してもらう - 友だちとのやりとりに不安を感じる保護者には、自分の思いを言葉にすること、友だちにも自分と同じような思いがあることを知っている成長段階であることを伝える。
トラブルに発展しそうなときは、きちんと仲介していくことも伝え安心してもらえるようにする
【4期】
- 身の回りのことなど、自分でできるようになったことや、しようとする姿を丁寧に伝え、その成長を共有していく
- 子どもは体温が高いので、室内では厚着をしすぎないようにしてもらう
- 園内での感染症状況を適宜伝え、家庭でも体調管理に気を付けてもらう
- 1年間の成長を共有し、次年度への期待を保護者にも持ってもらう
年間指導計画2歳児・養護
2歳児の年間指導計画の「養護」の例文をご紹介します。
【1期】
- 規則的な生活リズムの中で、気持ち良く過ごす
- 新しい環境の中、保育士とコミュニケーションをよく取り、信頼関係を築く
- 保育士に誘われ、トイレに行こうとする
【2期】
- 信頼できる保育士に思いや気持ちを受け止められ、安心して自我を表現する
- 身近な自然に触れ、梅雨の時期に興味を持つ
- スプーンを下手持ちし、正しい姿勢で食事をしようとする
【3期】
- 気温の変化に応じた生活を送り、健康で快適に過ごす
- 衣類着脱の際は、自分の服を畳もうとする
- 空腹、満腹を感じ、給食をしっかりと食べ、午睡の時間には身体を休める
【4期】
- 冬の保健衛生に留意し感染予防に努め、健康に過ごせるようにする
- 保育士や友だちと気持ちを共有しながら、幼児クラスへの進級に期待を持つ
年間指導計画2歳児・健康安全
2歳児の年間指導計画の「健康安全」の例文をご紹介します。
【1期】
- 前担任から子どもの状況を丁寧に聞き、家庭環境や個別記録を把握し、役割分担や個別に必要な配慮について話し合う
- 子どもたちに新しい保育室の使い方を繰り返し丁寧に伝え、危険がないようにする
【2期】
- 汗をかいたら、こまめに着替えをする
- 暑さの厳しい日は、水遊びでも長時間外に出ないように調整する
- 子どもたちの顔色や食事量をよく観察する
【3期】
- 戸外から戻った時は手洗い、うがいをしっかりとして、感染症を予防する
- 朝晩と昼間の気温が大きく違うので、厚着はせず、上着で調整するように保護者に伝える
【4期】
- 気温、体調、活動に応じて衣服を調整する
- 湿度に留意し、感染症対策に努める
- 集団遊びに適した環境を設定し、子どもたちに約束事をきちんと伝える
年間指導計画2歳児・反省
2歳児の年間指導計画の「反省」の例文をご紹介します。
【1期】
- 新しい環境に戸惑いが見られたが、安心して園生活を送ることができるように、1つひとつ丁寧に伝え、コミュニケーションを密に取るようにした
- トイレへ促す時間や声かけなど排泄面での事を細かく伝えた
【2期】
- 生活にも慣れ、自分のことは自分でやろうとする姿が多く見られた
- 水遊びが始まり、喜んで活動に参加する子もいれば、あまり好む様子が見られない子もいた。
その子が楽しめる範囲で水遊びを進めることができた
【3期】
- 運動会ではいつもと違う環境であったが、保護者にいいところを見せたいという気持ちが見られ、堂々と参加することができた
- 戸外活動では、どんぐりや落ち葉を見つけ、秋の自然を感じることができた
【4期】
- 玩具を使い、見立て遊びやごっこ遊びをする姿が見られた。
また、幼児用の指先を使う玩具を借りると、集中して取り組むようすも見られた - 進級に期待を持つ子もいれば、不安なようすを見せる子もいたので、幼児組保育室で過ごす時間を作った。
3歳児クラスと戸外に出るなどして、少しずつ移行に向けて取り組むことができたことで、進級により期待を持つことができたようであった。
年間指導計画2歳児・自己評価
年間指導計画2歳児の「自己評価」の例文をご紹介します。
【1期】
- 子どもたちは環境の変化に不安を見せたり、保護者との信頼関係も気づいている途中のため、コミュニケーションをよく取るようにし、保護者の話もよく聞き、園でのようすも伝えることを意識した
- 身支度での声掛けについて、担任同士で統一の声掛けができたので、子どもたちも混乱することなく取り組むことができた
【2期】
- 暑さで食欲が落ちてしまうことも見られた。栄養士と提供量などを相談し、無理強いせずに、食べたいと思える環境作りを意識した
- 身支度が1人でできることに喜びを見せる一方、やりたいのにできないと感じることもある。
焦ることなく落ち着いて取り組むことができるように、穏やかな声掛けができるようにした
【3期】
- 過ごしやすい気温になり、戸外活動を積極的に取り入れた。
どんぐりや落ち葉など、秋の自然を子どもたち自ら探し、興味を持つ姿が見られたのでよかった - 箸の導入は、家庭の考えも聞きながら、子どもの食事のようすを見て、今後も適切な時期に取り入れられるようにしたい
【4期】
- 進級に向けて、活動前の一斉声掛け以降、声掛けを減らし自分で考え、行動する姿を見守る時間を増やした。
- 鼻水や咳が出ることが多くなり、鼻のかみ方、咳エチケットを伝え、健康面に自分で気づくことができるように声掛けをした。
まとめ
年間指導計画は、子どもたちがどのように1年過ごしていくかというねらいや保育内容を考える上で、とても大切なものとなります。
年間指導計画を立てる3月~4月は、進級・入園・クラス替えなどがあり、時間に追われてしまうということもあるかと思います。
私自身も『そうしてこんなに忙しい時期に、書類が多いのか』と思うこともありました。
しかし、1年間の保育が始まる前に、子どもたちのことをしっかり考え、担任同士で見通しを立てながら年間指導計画を立てるという時間は、とても大切な時間です。
ぜひ、忙しい中でも心を落ち着ける時間を作り、次年度の子どもたちのことをじっくり考える時間を作り、1年間の保育にワクワクしながら年間指導計画を立ててみてください。