劇あそびでは、絵本を題材にして行うと、世界観に入りやすいです。
その劇あそびを行うためには、まずは絵本を選ばなくてはならないのですが、絵本はどのように選択していますか?
私の働いていた保育園では、園長から「子どもが夢中になれたこと・子どもの発見からイメージをふくらませて、劇あそび・発表会につなげていってほしい」と言われていました。
一昔前は〝オペレッタ〟が多かったのに、今は劇あそびが多いのかもしれません。
絵本から劇につなげるということに、はじめは戸惑ったものの、子どもの気づきや興味から劇あそびにつなげるという一連の流れが大切なことがわかりました。
そこで、この記事では、劇あそびにつながるおすすめの絵本を紹介します。
ぜひ劇あそびにつなげる参考にしてみてくださいね。
繰り返しのある絵本・劇
繰り返しのある絵本は、劇あそびに最適です。
なぜかというと、
- 子どもが内容を覚えやすい
- 話の流れがシンプルでわかりやすい
- 登場人物がわかりやすい
- セリフが覚えやすい
上記のようなことが考えられます。
繰り返しのある絵本は、たくさんありますが、その中でもおすすめの絵本を年齢順に紹介していきます。
繰り返しのある絵本・1歳児
『だるまさんが』
登場人物はだるまさん。
シリーズものだと、メロンさんやバナナさんも登場しますが、とにかくだるまさんが繰り返しのリズムで、さまざまな動きをします。
思わず子どもも横に揺れたり、一緒になってだるまさんの真似っこをしてしまうのです。
その姿がなんとも可愛らしい。
私の働いていた園では、0歳児クラスで1年間このだるまさんシリーズをテーマにして、最後には公開保育を行った先生もいました。
だるまさんの動きと、絵本の繰り返しのせりふが、子どもをクスクス笑わせてくれます。
繰り返しのある絵本・2歳児
『どんどこももんちゃん』
大人気の可愛いらしいももんちゃんシリーズ。
ももんちゃんがどんどこどんどこ走っていきます。
どこかに向かって走っていくのですが、くまさんに通せんぼされてしまうことも・・・。
それでもどんどこどんどこ走って、最後にたどり着いたのは、大好きなお母さん。
なんとも可愛らしい絵本です。
ももんちゃんシリーズは繰り返しの絵本です。
ももんちゃんシリーズを年間のテーマにして保育を行ったクラスもありました。
劇あそびだけでなく、運動会の競技などにも取り入れることで、日頃からももんちゃんと触れ合って過ごしていましたよ。
繰り返しのある絵本・3歳児
『おおきなかぶ』
有名なおおきなかぶは、とてもわかりやすい内容で、おもしろいですよね。
おじいさんがかぶの種をまいて、かぶが大きくなってしまい、収穫しようとしたけれど、かぶが大きすぎて抜けないのです。
おじいさんのあとに、おばあさん、まご、いぬ・・・とどんどん続いていき、みんなでうんとこしょどっこいしょ!
最後まで繰り返しの絵本です。
私も何度か劇あそびで取り入れたことがありますし、普段からあそびの中にも取り入れていました。
大きなかぶを子どもたちが抜く姿も可愛いですよね。
大きなかぶも、劇あそびだけでなく、運動会の競技に取り入れることもできます。
絵本は、さまざまな分野で活躍できるので、本当におもしろいですね。
繰り返しのある絵本・4歳児
『三びきのやぎのがらがらどん』
この絵本もとても有名ですよね。
お腹がへった3びきのやぎが草を食べに行くには、橋の上をわたらなくてはなりません。
橋の下には、こわいこわいトロルが住んでいて・・・。
3びきはトロールを回避するために、頭をつかうのです。
内容は簡単でわかりやすく、子どもたちも盛り上がる内容です。
私ががらがらどんを題材に劇あそびを行った際は、クラスの子どもが全員ヤギで、ヤギ役は15人でした。
〝15ひきのやぎのがらがらどん〟に演目名をかえて、トロール役は私でした。
ひとりひとりにトロールのやっつけ方を考えてもらい、それぞれの見せ場をしっかりと確保。
時間がかかるかな…と心配しましたが、絵本と同じで繰り返す内容なので、時間はそこまで長くならなかったです。
トロールとの戦い方の中には、〝必殺フライパン倒し〟や、〝必殺しおこしょうぶっかけ〟などがありましたよ。
繰り返しのある絵本・5歳児
『てぶくろ』
片方の手袋を見つけたねずみが、手袋の中に住み始めます。
すると、そこへ次から次へと動物がやってきて、一緒に住み始め、1匹増えるごとに手袋が変化していきます。
はしごがついたり、まどがついたりと、手袋はどんどん変化していきます。
劇あそびでは、動物になりきった子どもたちが、手袋をどんどん変化せていく姿と、変化する手袋が見ごたえがあります。
登場する動物は、絵本では決まっていますが、子どもたち自身に考えさせてみるのも良いでしょう。
絵本を題材に劇あそびにつなげていくので、オリジナルストーリーがまざっていっても、おもしろいです。
繰り返しのある絵本・小学生
『めっきらもっきらどおんどん』
かんたは、暇をしています。
暇すぎて適当に叫んでみたら、くるくるまわって夜の世界に落っこちてしまいます。
するとそこへ、へんてこな妖怪3人がやってきて、あそぼうと誘われます。
3人はそれぞれ違うあそびを提案し、じゃんけんで順番を決めて順にかんたとあそびます。
最後は、かんたがお母さんに会いたくなって…。
妖怪の提案するあそびは、なわとび・空をとぶこと・お宝の交換。
みんなでお餅のなる木のお餅をたべて、まったりしている描写もあります。
この絵本から子どもたちがイメージをふくらまして、どのように表現するのかが、おもしろいです。
繰り返しの絵本・おすすめ
年齢別に絵本を紹介してきましたが、繰り返しの絵本でおすすめは、エリックカールの『はらぺこあおむし』です。
小さなあおむしが、おなかをすかせて次々に食べものを食べます。
食べ過ぎておなかが痛くなって、さなぎになって、蝶々になる。
この様子を劇にすると、とても可愛らしいですよ。
私は2歳児クラスではらぺこあおむしの劇あそびを行いました。
CDはあえて使わず、保育士で歌って行いました。
あおむしになりきった子どもがたちが、食べもののトンネル(厚紙で作り、カレンダーのように次々めくれる)をくぐります。
そして、最後に子どもたちが並び、ペープサートを持たせ、食べたものを一人ずつ発表しました。
繰り返しの多い絵本
繰り返しの多い絵本は、子どもの心に響き、覚えやすく、リズム感があり、とても楽しい絵本です。
言葉と動きでいうと、エリックカールの『できるかな?あたまからつまさきまで』もとてもわかりやすくておもしろい内容です。
さまざまな動物が、自分のできることを人間に真似させます。
”私はこんなことができるよ、きみはできる?”
動きも言葉も繰り返しの絵本で、子どもたちに大人気です。
繰り返しのフレーズ・絵本
繰り返しのフレーズは、小さな子どもにとって、心に残ることでしょう。
繰り返しのフレーズを覚え、絵本を楽しみ、好きな絵本に出会うことで、子どもの安心感へもつながります。
耳に残るフレーズは、お気に入りの絵本となり、毎日の絵本の読み聞かせがより楽しくなりますし、何度も読んでほしいという気持ちになります。
保育士と子どもだけでなく、保護者と子どものスキンシップにとっても、繰り返しフレーズのある絵本は、とても大切で、やさしい時間になります。
絵本の繰り返しの言葉の効果
絵本の繰り返しの言葉の効果は、子どもの語彙力を増やしたり、表現力が豊かになることへとつながります。
絵本を通して、子どもは言葉を覚えていくのです。
そのため、絵本の繰り返しの言葉の効果は、子どもの成長にとって、とても大切なものと考えられます。
まとめ
繰り返しのある絵本を解説してきました。
保育園の中では、日頃から絵本が登場する場面が多くあるかと思いますが、絵本にはたくさんの素晴らしい要素がふくまれており、子どもの成長にとって大切なものです。
その大切な絵本を、子どもたちの劇あそびにつなげ、子どもたちがイメージして表現することへの一連の流れをつくることで、子どもたちはどんどん豊かに成長してくれることでしょう。