ひっかき絵とは、クレヨンで下塗りをした色の上に、異なる色で塗り重ね、その後、上の色の層をひっかいて削り取り、下の色の層を出す絵の技法です。
ひっかき絵は、むずかしいように思えますが、実は子どもたちにもむずかしくなくできるので、保育園や幼稚園での製作にはおすすめです。
普段のクレヨンや絵具での作品とは一味違うひっかき絵は、素敵な作品となることでしょう。
描いたあとに、さらにひっかいて楽しめるひっかき絵に、子どもも大人もワクワクしますね。
この記事では、ひっかき絵について解説していきます。
ひっかき絵にチャレンジしようとしている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ひっかき絵のねらい
ひっかき絵のねらいは、綺麗な色の変化を楽しむことが目的です。
そのため、以下のようなねらいが考えられます。
- ひっかき絵を通して綺麗な色の変化を楽しむ
- 綺麗な色の表現を感じ、感性を育む
- カラフルな色合いを楽しみ、思うように表現する
ひっかき絵は、何を表現するかもポイントですが、黒塗りの下からカラフルな世界が出てくるということにワクワクしますよね。
メジャーなのは『花火』ですが、自由画でもお魚の世界でも、なんでもありです。
カラフルな色の表現を楽める題材にしましょう。
ひっかき絵の指導案
指導案を書く際のポイントを解説します。
【ねらい】
・ひっかき絵を通して表現をたのしむ
【用意するもの】
画用紙 クレヨン アクリル絵の具 絵筆 竹串
【配慮すること】
- 絵の具は水をすくなめにする(水が多いと、下のクレヨンが透けてしまうため)
- 竹串はとがっているため、取扱には十分に注意する(子どもたちがとがった部分で怪我をしないように気を付ける)
用意するものは、保育園や幼稚園に大体があるものと考えられます。
絵の具を作る際には、子どもたちができるところは自分たちで行っても良いですが、保育士が事前準備をしておくことで、スムーズに活動ができるでしょう。
また、机の上を汚さないため・後々の片付けのためにも、机の上には新聞紙をしいておきましょう。
ひっかき絵の導入
ひっかき絵のの導入でおすすめは、絵本『くれよんのくろくん』です。
絵本のストーリーがひっかき絵の工程と重なり、子どもたちに伝わりやすいです。
「シャープペンシルのお兄さんの代わりに竹ひご兄さんが来てくれたよ!」と子ども達に紹介すると良いでしょう。
ひっかき絵では、カラフルな色はもちろん必要ですが、最も大活躍する色は黒ですよね。
ほかには、保育士がひっかき絵を見せてみるという方法があります。
黒塗り済みの画用紙を子どもたちに「これなんだ?真っ黒だけど、こうすると・・・」と、実際にけずって見せます。
子どもたちからは歓声や驚きの声があがるかと予想されますが、保育士がお手本を見せる際の注意があります。
表現力が豊かな子どもたちは、自分で思うように表現することを楽しみますが、保育士がお手本を見せたことで、それが『正解』となってしまう場合があります。
保育士と同じように同じような作品に仕上がってしまう場合も考えられますので、保育士がお手本を見せる場合には、ひっかき絵だけでなく、どの分野でも注意が必要です。
ひっかき絵のやり方
ひっかき絵は、色が2層となります。
下の層の色は、黒以外の色を使い、鮮やかな色合いにします。
上の層は、黒色のクレヨンかアクリル絵の具で塗ります。
やり方を順番にみていきましょう。
①画用紙をカラフルに塗る。
黒以外の鮮やかなクレヨンを使って、画用紙にたくさん塗ります。
②カラフルな上を、黒で塗りつぶします
このとき、黒のクレヨンでもよいですが、アクリル絵の具もおすすめです。
今回はアクリル絵の具とします。
③絵の具をかわかす
④絵の具がかわいたら、もう一度、黒の絵の具を塗ります
⑤絵の具をかわかす
⑥完全にかわいたら、竹串でひっかき、表面の黒をけずっていきます
⑦完成
ひっかき絵のコツ
ひっかき絵のコツは、下記の通りです。
- 絵の具に水を多くいれないこと
絵の具に水分が多いと、黒の部分が透けてしまうため、見ずは少なめでOKです
- 下に塗るカラフルな色は、濃い色がおすすめです
ひっかいた時に、濃い色だとはっきりと見えます
- ひっかいたときに、ひっかいたカスがでるため、後々の為に机には新聞紙を敷きましょう
- できあがった作品は、うちわなどにアレンジもできますので、さらに製作の幅が広がります
- 竹串だけでなく、割り箸や木の枝を使ってひっかくこともおもしろいです
太さの異なる素材を使ってひっかくことで、さまざまな表現ができます
ひっかき絵はむずかしくはありませんが、いつもの絵画制作とは異なり、少し特別感があります。
そのため、時間も必要となりますので、じっくりと描かせたいときには、絵の具は保育士が作っておいたり、かわかす時間を考えて数日確保したりと、配慮が必要となります。
ひっかき絵・3歳児(年少)
ひっかき絵は、ある程度の集中力も必要となるため、おすすめは4・5歳児です。
しかし内容によっては、3歳児も楽しめます。
例えば、作品にテーマを設けず、ただ『ひっかき絵』にします。
カラフルにクレヨンで塗ったあと、保育士が事前に作っておいた絵の具をぬり、その後好きなようにひっかくことを楽しみます。
とくにテーマを設けないことで、ひっかくことを楽しみ、下から色がでてくるという楽しみがあります。
白い部分が無くなるようにクレヨンを塗るのは結構大変です。
小さめの紙で行うか、色画用紙を使用しても良いでしょう。
もうひとつは、保育士が作ったひっかき用の画用紙をくばり、『けずったらなにがでてくるかな?』を楽しみます。
子どもたちがけずったことで、何らかの絵がでてくる発見をたのしむ内容です。
黒塗りの下から何がでてくるのか、ワクワクしますね。
太目のもので削ると、より良いでしょう。
まとめ
この記事では、ひっかき絵について解説してきました。
ひっかき絵でメジャーな作品は、夏の夜空の花火ですが、テーマによってはあそび方は無限大です。
テーマにとらわれず、好きなように表現をたのしむことも、子どもたちにとっては楽しい活動・経験のひとつとなります。
ぜひ、子どもたちとひっかき絵をたのしんでみてくださいね。