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子ども達と一緒に四季折々の行事を楽しめることは、幼稚園や保育園の先生ならではの楽しみでもありますね。
2023年のお月見は9月29日です。
お月見は知っているけれど、意外とその由来がは知らないという先生も多いかもしれません。
幼稚園や保育園で行われるお月見会で、子どもに聞かれた時に、笑顔で答えられるようにしておきたいですよね。
お月見はいつ?
お月見とは、旧暦の8月15日に月を鑑賞することです。
この習慣は、平安時代に中国から伝わってきました。
十五夜・中秋の名月とも呼ばれ、1年間で最も美しい満月だとされています。
お月見は貴族の間で行われていた行事ですが、庶民にも広まっていきました。
秋に採れた農作物に感謝するという「豊作祈願」の意味合いが込められ、現在の形になりました。
月の満ち欠けは暦と深い関係があります。
暦に準じて行う農業をする人々にとっては、月を眺めることは自然なことだったのでしょう。
9月の月は特に澄んでいて綺麗だったという理由もあるようです。
暦には、旧暦と新暦という二種類があります。
現在私たちが使っている暦は太陽の動きをもとにして作られており、「太陽暦」と呼ばれています。
一方で旧暦は、月の満ち欠けの周期を基準にしながら、季節を表す太陽の動きも考慮して作られた「太陽太陰暦」と呼ばれるものを使っていました。
地球は太陽の周りを約365.24日かけてぐるっと一周します。なので、太陽暦で考えると1年間は365日になります。
これを太陽太陰暦で考えてみるとどうでしょう。
新月から次の新月までは平均29.5日なので、×12をすると1年間が354日になります。
となると、太陽太陰暦では太陽暦の1年間より11日短いことになるため、毎年少しずつ季節のズレが生じてきてしまいます。
それを解決するために、暦と季節のズレが大きくなってきてひと月分に近くなってくると閏月(うるうづき)というものを入れて1年間を13か月とし、調整をしていたそうです。
このように旧暦と新暦の11日のズレによって、太陽太陰暦では8月15日でも、現在の新暦で換算すると毎年日付が変わってきてしまうようです。
「豊作」「暦」など、園児には難しいお話ですね。
ちなみに、2023年の十五夜は9月29日(金)、2024年の十五夜は9月17日(火)、2025年の十五夜は10月6日(月)ですよ!
今の暦で見ると、十五夜は9月中旬から10月上旬になることが多いです。
お月見のお話
「満月の日にやるの?」「ウサギやお団子、ススキのイメージがあるな…」
といった何となくの想像はできても、どんなことをする日なのか、由来は何なのかなど、実際にはまだまだ知らないことも多いのではないのでしょうか。
お月見のお話といえば、皆さんの頭の中には何となくウサギが出てきませんか?
このウサギの話はインドから伝わってきた「月のウサギの伝説」から始まりました。
これが日本でアレンジされ、童話になったものが今昔物語に記されているそうなのです。
ここからはざっくりとしたあらすじです。
昔、インドではキツネ・ウサギ・サルが一緒に暮らしていました。
3匹は毎日厳しい修行を重ねて菩薩の道へ進もうと努力し、お互いのことを家族のように尊敬しあっていました。
そんな3匹の様子を見ていた帝釈天(たいしゃくてん)という神様はその姿に感心し、3匹が本当に誠の心の持ち主であるのかを試すことにしました。
そこで神様は老人に変身して3匹のもとへ訪ねていき、「身寄りもなく貧しい自分を養ってくれないか」とお願いをします。
3匹はそのお願いを快く受け入れて食べ物を探しに行き、キツネは魚を、サルは木の実や果物などを取ってきました。
しかしウサギだけは、どんなに一生懸命山の中を探し回っても食べ物を見つけることができません。
サルやキツネ、老人にもあざ笑ったり励まされたりするうちに、「このままでは食べ物を見つける前に自分が人や獣に食べられてしまう」と考えるようになります。
ある日、ウサギは「食べ物を探してくるから、火を起こしてほしい」とサルとキツネに頼みます。
サルとキツネが言われたとおりに火を起こすと、ウサギは自分自身を食べてもらおうとその中へ飛び込み、死んでしまったのです。
そんな健気で慈悲にあふれたウサギの姿を見た神様は元の姿に戻り、ウサギがしたすべての行動をほかの生き物たちに見せるため、月の中に映したのです。
いかがだったでしょうか。
ウサギの気持ちを考えると切なくなってしまいますが、これが月のウサギの伝説です。
月の中に雲のようなものがあるのは、ウサギが焼け死んでしまったときの煙だといわれていて、その雲がこのウサギの形なのです。
お月見の意味
お月見は、ただ満月を眺めて鑑賞をするだけの行事ではなく、本来は、農作物が無事に収穫できたことを祝ったり感謝したりする行事です。
地域によっては子どもたちがお菓子や農作物など各家庭がお供えしていたものを近所にもらいに行くことがあります。
お供えしていたものが貰われていき全てなくなると、神が宿って食べてくださったのだと捉えて縁起が良く、来年も農作物が豊作になるとされているそうですよ。
お月見の由来
古くから日本にも月を眺める、月を愛でるといった風習はありました。
しかし、ただ鑑賞することを楽しむことが目的で、深い意味はありませんでした。
それが平安時代に中国から日本へお月見が伝わり、貴族の間で広まっていったのです。
最初、貴族たちは船の上で月を眺めながら詩や歌を楽しんだり、お酒を飲んだりして過ごしていました。
それが江戸時代になると庶民の間でも風習として広がり、その頃には収穫祭や作物の豊作を祈る行事とした意味合いが強くなり発展していったのです。
十五夜お月さんの意味
十五夜とは、「秋の真ん中に出る月」という意味があります。
旧暦では、7~9月が秋。
それぞれの月には、秋の時期を示す呼び方があります。
旧暦の7月:初秋
旧暦の8月:中秋
旧暦の9月:晩秋
秋の中で、ちょうど真ん中となる日が、旧暦の8月15日なのです。
旧暦の8月は中秋なので、「中秋の名月」と呼ばれるという訳です。
お月見や月にまつわる童謡はいくつかありますが、その中でもなんだかほかの曲とは違って暗い雰囲気の曲があります。
それが「十五夜お月さん」です。
歌詞には、今ではあまり聞きなじみのない言葉もあります。
十五夜お月さんの歌詞の意味について考えてみたいと思います。
この曲は、ある小さい子どもが十五夜の日の満月を話し相手に、自分の気持ちや自分の周りで起きた出来事を報告している曲です。
「ごきげんさん」は「ごきげんよう」という挨拶の意味です。
また、「ばあや」は祖母のことではなく、使用人やお手伝いさんなどを指します。
そして「おいとま」。
漢字では「お暇」と書かれ、現代では、①余暇や休暇を取ること、仕事から離れること、②その場から立ち去ることという意味で使われます。
しかし当時は、①休暇を取る、②使用人や召使いを辞めさせる、③妻と離縁するという意味合いがあり、この曲の中では②の使用人を辞めさせるという意味で使われています。
これを踏まえると1番は、「十五夜お月さん ごきげんよう 使用人は 辞めていってしまいましたよ」という意味になります。
2番の歌詞は、1番に比べ、比較的現代でも使われている言葉が主です。
しかし「田舎にもられて」で引っかかる人が多いと思います。
「もられて」とは「もらわれて」という意味なので、2番は「十五夜お月さん 妹は 田舎にもらわれて いきました」となります。
3番の歌詞の「かかさん」とは「お母さん」。
「もいちど」は「もういちど」なので、3番は「十五夜お月さん お母さんに もう一度私は 会いたいな」となります。
子どもが月を見上げながらお母さんに会いたいと願うということは、おそらくお母さんはすでに亡くなってしまっているのではないかと考えられます。
では、1番から3番までを改めて振り返ってみると…どうでしょう。
状況としては、「自分の世話をしてくれていた使用人は辞めさせられてしまい、妹は田舎の農村に引き取られて、母親はもう亡くなってしまっている」ということになります。
意味を知ったうえで曲を聞くと、幼い子どもが、月の夜に一人ぼっちでこんな思いをしているということに胸が締め付けられますね…。
まとめ
「お月見って何?」といった素朴な疑問は、解消できたでしょうか?
ここまで読んでくださった方はもうきっとお月見博士ですね。
由来やお月見のお話をきちんと知ったうえでお月見をすると、また違った楽しみ方もできそうです。
2023年の十五夜は9月29日(金)!
お供え物も用意して、きれいな満月を眺めてお月見を楽しんでみてはいかがでしょうか。