幼稚園・保育園のイベントの一つ、芋掘り保育。
土に直接触れて、芋を収穫する体験は、子どもにとってすごくいい経験になるでしょう。
芋掘り保育のねらいや、幼稚園・保育園の指導案を年齢別で紹介します。
注意点や配慮する点も詳しくまとめました。
さつま芋・じゃが芋掘りのねらい
芋掘りを遠足として行う幼稚園・保育園。
園内で育てた芋を掘る幼稚園・保育園。
また芋掘りと言っても、じゃが芋掘りとさつま芋掘りがありますね。
芋掘りの保育の取り組み方は、様々でしょう。
年齢ごとにねらいを紹介します。
芋掘りのねらい・1歳児
ほとんどの子どもが、初めての芋掘り。
戸惑いがあったり、嫌がったりするかもしれません。
1歳児は、楽しんだり、不思議に思ったりする気持ちを育てることを心掛けましょう。
【ねらい例文】
- 土や虫に触れて、自然を感じる。
- 土の中から芋や虫が出てくる楽しさや驚きを味わう。
芋掘りのねらい・2歳児
2歳児はすごく嫌がったり、なかなか取り組めない子もいます。
楽しめるように配慮しましょう。
その中で、子どもの背中を少し押してあげられると良いですね。
【ねらい例文】
- 土や虫に触れて、自然を感じる。
- 自分で掘り起こし、収穫しようと頑張る。
芋掘りのねらい・3歳児
3歳児は、芋を取りたい気持ちが強い子がたくさんいます。
掘り出すことをねらいにしてしまわず、芋掘りを楽しめるように声を掛けてあげてください。
【ねらい例文】
- 土や虫に触れて、自然に親しむ。
- 収穫する楽しさを味わう。
- 芋が土の中で生長することを知る。
芋掘りのねらい・4歳児
芋掘りの方法やコツも分かってきて、自分でほとんど出来る子どもが多いでしょう。
そのため、より芋掘りに関心や期待を持っている子が多いです。
その気持ちをより高めながら、取り組めるねらいがオススメです。
【ねらい例文】
- 土の感触を感じながら、収穫し楽しむ。
- 芋の形や大きさに関心を持つ。
- 収穫できたことに喜びと感謝の気持ちを持つ。
芋掘りのねらい・5歳児
一人で黙々と芋掘りをする子もいれば、取れた喜びを共有したい子もいます。
5歳児は、全身で芋掘りを楽しむことができます。
楽しむだけでなく、友だちと共有したり、芋の成り立ちや大きさ重さに、関心を持てるようなねらいを立てましょう。
【ねらい例文】
- 土の中を自ら探し、自然の中での芋掘りを十分に楽しむ。
- 芋の形や大きさ、重さなどを友達と比べたりして、関心を持つ。
- 収穫できたことに感謝と喜びを持ち、食材としても興味を持つ。
- 芋掘りをきっかけに、他の自然や作物に興味・関心を広げる。
芋掘り保育の指導案
ねらいを決めたら、指導案もしっかり立てましょう。
難しく考えず、“楽しく子どもたちが楽しめるように”と考えると指導案が書きやすいですよ。
年齢別に芋掘り保育の指導案をまとめました。
芋掘り保育の指導案・1歳児
芋を掘るのは難しいので、土や芋の感触をたくさん触れられるようにしてみましょう。
【環境構成】
- 芋の絵本に触れ、興味・関心を持てるようにする
- 絵本や手遊びを通して、芋を掘るという動作を知る
- 土に慣れるように、砂遊びを経験しておく
【予想される子どもの姿】
- 土の感触を楽しむ
- 虫を嫌がったり、怖がったりする
- 絵本や手遊びを通して、芋に関心を持つ
- 芋が土から出て、喜んだり、驚いたりする
【保育士の動き(援助、配慮する点)】
- 嫌がる子どもには、優しい声を掛け、安心できるようにする
- 芋が土の中から見えていることを知らせ、興味が出るようにする
- 掘る様子を見せ、芋掘りに興味が出るようにする
芋掘り保育の指導案・2歳児
戸惑いは見られるものの、積極的に楽しめる子どももいます。
【環境構成】
- 芋の絵本に触れ、興味・関心を持てるようにする
- 芋の製作を行い、イメージを持つ
- 土に慣れるように、砂遊びを経験しておく
【予想される子どもの姿】
- 虫や土の感触に戸惑ったり、嫌がる子どもがいる
- 積極的に芋掘りをしようとする
- 芋が出てくると、喜び、自ら掘り起こそうとする
- 上手く芋掘りが出来ず、援助を求める
【保育士の動き(援助、配慮する点)】
- 嫌がる子どもには、優しい声を掛け、安心できるようにする
- 頑張っている姿を褒め、やる気の出る言葉を掛ける
- 喜びを共感する言葉を掛ける
- 難しそうなところや、援助を求めてきたときは、仕上げは子どもが出来るところまで援助する
芋堀り保育の指導案・3歳児
やる気を持って参加する子どもが増えます。
しかし、集中力はそこまで持たないので十分配慮しましょう。
【環境構成】
- 芋の絵本に触れ、興味・関心を持てるようにする
- 自分の掘るエリアが分かるように、印をつけておく
- 掘り方を事前に確認しておく
- 芋の料理について、話し合う
【予想される子どもの姿】
- やる気を持って参加するが、疲れたり、上手くできずにやる気がなくなっていく
- 先生に助けを求める
- 芋をどんどん掘り、友だちとトラブルになる
- 掘った芋で何が出来るのか、楽しみを持つ
【保育士の動き(援助、配慮する点)】
- 子どもたちが掘り起こしやすくしておく
- 芋掘りが出来た達成感を味わえるような、援助をする
- 一人ずつ、掘る場所を伝えておく
- やる気の出る言葉を掛けながら、芋掘りが楽しめる雰囲気を作る
芋掘り保育の指導案・4歳児
芋についてより詳しく知ると、子どもたちも興味が出ます。
芋堀りから、食育に繋げてみても良いでしょう。
【環境構成】
- 芋の絵本に触れ、興味・関心を持てるようにする
- 芋の生長についての写真等を貼り、実だけでなく葉などにも興味が出るようにする
- 芋の料理について話し合う
- 芋掘りの方法を知る
【予想される子どもの姿】
- 芋掘りにやる気を持って参加する
- 友達と協力し合いながら、芋掘りを行う
- 芋の大きさ等で、友達同士トラブルになる
- 芋の葉や虫に興味を持つ
【保育士の動き(援助、配慮する点)】
- 頑張っている姿を認めたり、芋が収穫できた喜びを共感し合う
- 難しい場合や、子どもが援助を求めてきたときだけ手伝い、見守る
- 大きさだけに目を向けるのではなく、色々な形に目を向けられるような声を掛ける
- 全然掘れない子どもには、十分に配慮してあげる
- 葉や虫などにも興味・関心が向く言葉を掛ける
芋掘り保育の指導案・5歳児
様々なことに興味を持っている5歳児。
芋掘りを通して、植物、虫、重さ等も一緒に吸収できます。
【環境構成】
- 芋の絵本に触れ、興味・関心を持てるようにする
- 季節の植物、虫に興味が出る写真や図鑑を準備する
- 芋掘りの方法をみんなで話し合う機会を作る
- 季節の味覚に興味を持つ
【予想される子どもの姿】
- 芋掘りを、先生や友達と楽しむ
- 周りの植物や虫に興味を示す
- 事前に確認した芋掘りの方法を、友達同士声を掛け合いながら行う
- 芋の大きさや形に興味を持つ
【保育士の動き(援助、配慮する点)】
- 子どもたちの芋掘りを見守り、必要な場合のみ援助する
- 上手く掘れない子どもがいたら、アドバイスをする
- 子どもが発した面白い発言をみんなで共有し、より楽しい芋掘りになるようにする
芋掘りの注意点・配慮
楽しい芋掘りですが、いつもと環境が違うので、注意点や配慮することがあります。
子どもの状態の確認
時期によっては暑いので、熱中症に気を付けましょう。
また、土や虫と触れるので皮膚の弱い子はかぶれたりするかもしれません。
また、バスで芋掘り場に向かう際のバス酔い。
いつもと環境が違うので、様々な体調の不良が出てくるかもしれないです。
いつも以上に子どもの状態を、しっかり確認しましょう。
人数の確認
園内でする場合も、必ず人数確認は常に意識しましょう。
虫を嫌がったり、トイレに行きたくなったり等で先生に告げず行動してしまう子もいるかもしれません。
初めての場所では迷子になる可能性もあります。
芋掘りを取り組む前に、子どもたちに一人で行動しないように約束事をし、当日は常に人数確認を行うようにしましょう。
全員掘れているか確認
怪我等を気にしすぎていると、芋掘りを子どもが楽しめていないのに気づかない場合があります。
怪我等にも配慮しますが、せっかくの芋掘りなので、子ども達全員が楽しめるように芋掘りの援助もしましょう。
水分補給
つい夢中になって、芋掘りに取り組んでしまいます。
夢中になり過ぎて、水分補給をしていないと倒れる可能性も。
時間を見て、全員が水分補給するようにしましょう。
その際、いらないという子どもがいても、少しは飲むように声を掛けてください。
また、子どもばかりに水分補給を促し、先生が飲み忘れることもあるかもしれません。
先生もしっかり水分補給をしてくださいね。
芋掘りの持ち物
芋掘りでは、準備物があります。
道具がそろっていないと、大変なことになる可能性があります。
また、幼稚園・保育園で全て準備するのではなく、家庭で準備してもらった方がいいものもあります。
幼稚園・保育園が準備する物、園児に持ってきてもらう物をそれぞれまとめました。
幼稚園・保育園が準備する物
- 大きめのスコップ
- 軍手
- ビニール袋(スーパーの袋等)
- 雑巾
- 救急セット
子どもの持ち物
- 軍手
- スコップ
- ビニール袋(名前を書いてもらう)
子ども用のスコップは、鋭利なものは危ないのでプラスチック製でも構いません。
その時は、先生が事前にしっかり掘り起こしてあげないといけません。
服装は、長靴・長ズボンが良いでしょう。
先生も、汚れても構わない服装にしましょう。
まとめ
食べ物を収穫出来る体験は、子どもにとって様々なことを吸収できる機会です。
今は、スーパーできれいな状態の野菜しか見たことがない子がほとんどです。
実際に土から掘り起こすと、刺激をたくさん受けます。
芋掘り前は、芋が苦手でしたが、自分が収穫した芋を食べてから、芋を好きになった子どもがいました。
それくらい、芋掘りは子どもに刺激を与えてくれる保育なのでしょう。
子どもたちにとって、思い出に残るような保育をするために、しっかりねらいや指導案を立ててください。
そうすることで、先生も当日子どもたちと楽しんで芋掘りが出来ますよ!